代理品

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)

書く事。
精神を安定させる事。

ボトルネック


米澤氏の作品は「小市民」シリーズから入った。
あのシリーズにおける小市民の観念についてはミステリにおける新たな可能性を確かに
示していたように思う。とはいえ過去に読んだミステリ作品の数は高が知れている訳だが。
パラレルワールド、という観念については高校時代に知人と語り合って以来久々に出会うものだった。
読後感想のみ述べるとすれば、面白かった。
大体展開は読めてしまう類の作品ではあるが、それを補ってなお余りある文章力。
プロの作家であるのだからそれは当然であるのかも知れないが、駄文書きの自分としてはこういう小さな所からも見習っていきたいと思う。
鬱展開、といえばそうかも知れない。
だが、結末については読者に示されている。
読者によってはこの後に、都合の良い希望が見えるのかも知れない。
しかし自分としては、終章タイトル「昏い光」とあるように主人公に当てられるのは希望の光であって欲しくはない。
もしあの場から去り生き残ったとして、主人公には「当然のように」、暗澹とした人生を生き続けて欲しいのだ。
それともあれは母親からのメールに光を見るという事なのだろうか。
さすがにそれはないか。
不可解な部分があるとすれば、グリーンアイド・モンスターは何処に消えたのだろうという点のみか。私の読解力が悪いのだろうか。

次は何を読もうか。