全く、自分の交友範囲の狭さを目に見えて思い知った。
一定の社会集団を構成する人間を内部でランク付けするという行為(役職といったランク付けは除く)は、極自然に行われている。余りに漠然としているが、恐らく苛めはその最たる例であると言える。ある個人、若しくは集団をより多くの集団の力によって淘汰する。生物の原理としては、非常に合理的なのだろう。
だが、いざこうして出会ってみて初めてその劣悪さを認識するというのは、やはり俺の人生経験不足なのだろう。
とはいえ、そういった行為を日常的にこなしている人間は、中学・高校の時にもいるにはいた。そう、苛めの指導者ではなくそれに加担する不特定多数の人間だ。彼らは、状況によってその立場を変える。苛めという運動が最高潮に達している時はその波に乗り対象を迫害し、苛めの事実が白日の下に晒されれば指導者を断罪し自身は無関係を装う。日和見主義的な彼らは、その性質を犬と同じくする。つまりは、飼い主の家族と自身をランク付けし、自身より上位だと思った者には服従し、下位だと思ったものには傲慢な態度を取るという、社会性に長けた動物に許される行動だ。
多くの人間にこういった傾向はある。迫害されて来た少数の人間の集団内部にもそういった傾向は存在するのだから、より多数の集団内部ではその傾向はより顕著だろう。というより、この人間社会は、そういった人間達によるランク付けで構成されているのだ。それに対して反感を持った所で、今更何か変わる訳でもない。
だがそれを、より間近でリアルに認識してしまうというのは、幸か不幸かどちらだろう。
「○○先輩に嫌われたら、このサークル辞めます……」とさ。
で「××先輩は、○○先輩の次の次に、尊敬してます!」だったか?
おいおい、それを本人(××先輩)の目の前で言うかね?
じゃあ、「○×先輩には、礼儀正しくする必要はありません。私より下位にいますから」ってか。笑える。笑える。
汚らわしい野良犬が自宅に迷い込んで来た印象を受けたよ。
ああ、人間の純粋な、無邪気な悪意が透けて見えるよ。
悪意を見るのは愉快だけど、人間としては憎悪するよ。
さあ、将来社会に出ればこんなのが死骸にうぞうぞと群がる蛆虫のように蠢いている。社会から見れば少数派に位置する人間と、僅かの社会不適合者で構成された集団の、欺瞞に満ちてはいるが平穏な箱庭内部に入り込んで来た病毒犬をどうしようか。どうしようもないか。
まあ、良いや。
おやすみ。